創作ノート:ヤコブの梯子

「ヤコブの梯子」、または「薄明光線」「天使の梯子」。
雲の切れ間から太陽の光が地上に向かって伸びる、あの現象のこと。
ノアの方舟に出てくる、神との契約のしるしである「虹」しかり、この自然現象も旧約聖書の物語では、神の啓示となっている。

ヤコブは旧約聖書の創世記に登場する人物で、イサクとリベカの夫婦のもとに生まれた双子の兄弟の弟。
双子の先に生まれたほうは色が赤く、全身が毛皮のようであったため、エサウと名づけられ、その兄のかかとをつかんで生まれてきた弟はヤコブと名づけられた。
エサウは父イサクに愛され、ヤコブは母リベカに愛されていた。このことが兄弟の争いに発展することになる。
いつの世もこのような問題は起こる。人類の普遍のテーマの一つ。
私が聖書の世界に惹かれるのも、まさにこのような人間ドラマの宝庫だから。

母の計略に従って兄を騙し、長男の権利を得て父に祝福を受けたヤコブ。
怒ったエサウがヤコブを亡き者にしようとしたため、母は自分の兄であるラバンの元へヤコブを逃亡させる。

ヤコブが逃亡の旅の途中で野宿した際に見た
天使が上り下りしている梯子の夢。

創世記28章10~22節

地上から天まで続く階段を天使たちが上り下りしている、そして枕元に主が立ち、
「私は、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、主である。
あなたが今横たわっているこの土地を、あなたとあなたの子孫に与える。
あなたの子孫は大地の砂粒のように多くなり、西へ、東へ、北へ、南へと広がっていくであろう。
地上の氏族は全て、あなたとあなたの子孫によって祝福に入る。
見よ、私はあなたと共にいる。
あなたがどこへ行っても、私はあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。
私はあなたと約束したことを果たすまで決して見捨てない。」

だまし討ちのようにして、長男の権利を奪ったヤコブ。
それでも、この物語に救いがあるのは、ふたりが和解すること。

この作品は宇宙的な超越感をイメージした。