創作ノート:12使徒

凝縮されたオブジェたる「胡桃」を12使徒になぞらえた作品。

12使徒は以下のとおり。

ペテロ 元漁師で一番弟子。ペトロとは「岩」という意味。イエスから天国の鍵を預かり、カトリックの初代教皇。
アンデレ ペトロの弟。元漁師。
ヤコブ(大) ペトロたちの漁師仲間。激しい性格でイエスに「雷の子」と呼ばれた。
ヨハネ 最年少。イエスから母マリアの面倒を託される。
マタイ 元取税人。福音書記者。
トマス 疑り深い性格で「不信のトマス」と呼ばれる。
ピリポ 竜を退治し死者を蘇らせた伝説を持つ。
バルトロマイ 別名ナタナエル。ピリポに誘われてイエスの弟子となる。
ヤコブ(小) イエスの親戚で容貌が似ていたとされる。
タダイ 熱心党のシモンと兄弟と言われる。ユダ・タダイと呼ばれていたため、しばしばイスカリオテのユダと混同された。
熱心党のシモン 熱心党は目的のためには過激な行動も撮ったとされる政治集団。
ユダ イスカリオテのユダ。銀貨30枚でイエスを売り、「ユダ」の名は裏切り者の代名詞となった。

マティア ユダの代わりに弟子となり、12使徒は保たれる(「12」という数はイスラエルの12の部族と関係し、神聖な数字とされる)。

イエスの12人の弟子たちは、いずれもイエスと共に捕らわれることを恐れ、散り散りに逃げ去る。イエスを裏切ったのはユダ一人ではなかった・・・。
遠藤周作は著書「イエス・キリスト」の中でこう語っている。

私たちがもし聖書をイエス中心という普通の読み方をせず、弟子たちを主人公にして読むと。そのテーマはただ一つ 弱虫、卑怯者、駄目人間がどのようにして強い信仰の人たりえたかということになるのだ。そしてまた、そのふしぎな弟子たちの変わりかたの原因こそ、聖書が私たちに課するテーマであり、謎とも言えるであろう。

弟子たちが劇的に変化するのはイエスが十字架に架けられ亡くなった後。
イエスは死後3日目に復活し、地上に40日とどまる。
その間、マグダラのマリアの前に現れ、ペトロに現れ、復活を信じなかったトマスの前に現れ、最も古い復活報告書によると500人以上の兄弟たちに一度に現れたと言う。「イエス・キリスト」という永遠となって弟子たちに復活の意味を教えるために。

そしてさらに、昇天して10日後、聖母マリアと使徒たちが部屋に集まっていた時、突然激しい風のような音が響き渡ると炎のように分かれた舌のようなものが使徒一人一人の頭の上に止まる(これは「燃える舌」と言われる)。すると各々が異国の言葉で話し始める。そして、ここから使徒たちの死をも恐れぬ過酷な伝道の旅が始まる。