創作ノート:時祷書10月- Fall harvest –

『ベリー公のいとも豪華なる時祷書 Tres Riches Heures of Jean, Duke of Berry』では、
10月は「種蒔き」
前景には小麦の種播きの情景、小鳥が種をついばみ、案山子の姿。
後景にはルーヴル宮。

ルーヴル宮はルイ14世が、1682年に王宮としてヴェルサイユ宮殿を選んだことにより、王室が収集してきた美術品の収蔵と展示場所となる。
そして、フランス革命下の憲法制定国民議会で、国立美術館として使用することが決定され、1793年に美術館として正式に開館。
現在、先史時代から19世紀までの美術収蔵品は380,000点以上。年間の入場者数は800万人を超え、世界で最も入場者数の多い美術館となっている。

稲の収穫は日本では9月中旬から10月中旬。
稲作文化であるから、10月は実りの秋となる。
収穫祭は秋の主な行事の一つだ。

10月の作品は「収穫」をイメージし、北半球の温帯地域に広く分布する胡桃を用いた。
胡桃は熟すと自然落下するため、採集に手間がかからない。紀元前7000年頃から食用とされた「秋の恵み」だ。
この作品では人物の写真を用いず、その代わり温かみのある色彩を使い、抽象性をもたせた。