創作ノート:「夜 」- La Nuit –

童謡「おもちゃのチャチャチャ」の世界観をイメージした。
野坂昭如が「おもちゃが夜会を開く」をテーマに作詞した曲だ。

くるみ割り人形、アンデルセンの「鉛の兵隊」、トイ・ストーリー・・・
大人たちが寝静まった夜、自分の一番の宝物であり、分身のような「おもちゃ」が動きだす・・・子供の頃、誰もが一度は夢想するのではないか。

そして、「星の子を連れた夜の女王」のイメージ。
まだまだ出産時や幼児期の死亡率が高かったヴィクトリア朝時代に好まれたモチーフだ。
夜の女王は亡くなった赤ん坊を胸に抱いて、ケシの花を散らしながら夜空を飛んでいく。
ケシの花言葉は、慰め、眠り、忘却・・・。

幼児期と死の世界の隔たりは脆弱だ。

夜は別の世界への扉が容易に開く。
その世界は深く、恐怖と優しさがない交ぜになった有史以前の混沌に続く。