創作ノート:白夜

夏至の季節、北半球の高緯度地域では太陽が沈んだ後も薄明るい。
これを「白夜」という。

白い夜、美しい言葉だと思う。
ロシア語の訳からきているらしい。スウェーデン語は「vit natt」、同じく白い夜を意味するそうだ。
英語では「Midnight Sun」

この作品では、柱時計と子供達(3姉妹)の写真を用いた。
夜更かしといたずら。
こども心をくすぐるパワーワード。

そして階段。
フランスの哲学者、ガストン・バシュラール著書『空間の詩学』第1章“地下室から屋根裏部屋まで 小屋の意味”の中で語られる「家」と「階段」についての関連記述を抜粋する。

家は鉛直の存在として創造される

鉛直性は地下室と屋根裏部屋という極性によって裏づけられる

家も部屋もわすれられぬ内密をしるしづけられているのだ。まだ種子のなかにとじこめられ、おりたたまれている花の未来の夢のように、中心の確かな、凝縮した内密のイメージがはたして存在するだろうか。

われわれは部屋へのぼってゆく階段を、のぼり、またくだる。これはよりありふれた道だ。これは日常なれしたしんだ道である。十二歳の子供は上昇音階でそこをのぼってゆく。

子供にとって階段とは、日常でありながら同時に“家という内的世界での「小さな冒険」の入り口”なのだ。