創作ノート:ヴァンサンヌの森

パリには400を超える市立公園や庭園があるという。
ちなみに東京都の都立庭園は9つ(小さな公園を含めると9500箇所だというが)。
なるほど、地方から上京した時、街中の緑の多さに驚いたのも頷ける。
総面積は約8,076ヘクタール。
パリの面積は東京23区の6分の1ほどで、庭園面積は約3,000ヘクタールという。
単純な比較で、パリは東京より緑の多い都市ということになる。

広大なヴァンサンヌの森。
その大まかな歴史は、ブルボン王室の狩猟場として始まる。
ルイ7世(1120-1180)によって狩猟の館としてヴァンサンヌ城が建てられた。
時代は下がって、ルイ14世(1638-1715)はフロンドの乱の後、ヴァンサンヌ城に逃れ、ここに宮廷を移す。
その後、宮廷がヴェルサイユに移ると、ヴァンサンヌ城は刑務所となり、
かのマルキ・ド・サド(1740-1814)もここに投獄されていたことがある。
1860年にナポレオン3世によって市民の公園となる。

この作品は、晩秋のイメージ。
落ち葉と松ぼっくり、土の香り。
かつては狩猟犬がけたたましく吠えながら駆け回ったであろう森。
今では静かな散歩道。
褪せたピンク、グリーン。地図の特徴的な色使いは好ましく思っている。
そして黒、セピア。