抑えた色調。
少しだけグリーンが入ったグレーが好きだ。
ストイックさの中にも温かみが出る。
男性と女性で色の感じ方が違うという研究がある。
病院の待合室にリュックを忘れたことがあった。
家族の分も含め複数の荷物を持っていたためだった。
家に帰って気づき、急いで電話をして「特徴」を伝えた。
「グレーがかったグリーンです」・・・「グレー」のリュックならありますけど・・・。
なるほど、取り戻したそのリュックは、黒と白のみの配合で作られるシンプルなグレーではないが、
確かにグリーンではないな・・・と、人から指摘されて初めて認識したのだった。
電話対応してくれた受付の人も女性であったし、単純に色の感じ方には個人差が結構あるのではないか。
私はその「グレー」のリュックの中に、グレーより多くの「グリーン」を感じていたのだ。
(ちなみに小・中・高と健康診断の色覚検査で異常はなかった)
それはさておき、
色を散らして、その組み合わせを楽しみ、明るく仕上げたい時と、
この作品のように静謐な表現に抑えたい時とがある。
使用する写真の印象がそれを決める。
少女の凜とした表情が美しい。
とはいえ、あまりに抑え過ぎるのも似合わない。
レースの縁取りは丁度いい甘さを醸し出す。
晩春の暖かく静かな雨のような、モノクローム。