移動。
移り、動くこと。
例えば、古くは狩猟採集民族が狩りや木の実などの採集のため季節ごとに移動する。
または、もっと強制的な外的要因、侵略や自然災害による移動。
もっと身近な事柄で言えば、進学、就職、結婚など。
春は移動の多い季節だ。
別れと新しい出会い、古い世界と新しい世界が混じり合って、心を乱す。
この作品の詩的なイメージは、
銅鑼の音に合わせて足踏み、花が舞い散る。
出発の合図、躊躇する間はない。
前に進め!
象は感情豊かで家族愛が強く、仲間の死に対して深い悲しみを示すという。
苦難の道のりの中で、他者を悼むということは集団の中で大きな意味を持つことだろう。
象の類縁であるマンモスはアジア、シベリア、アラスカを経て北アメリカ大陸まで生息し、最終氷期の末期に絶滅した。
気候変動による食物の減少、人間による狩猟、伝染病など絶滅の要因は様々であるが、
「絶滅」という言葉の、何と哀愁漂うことか。
シベリアで発見されたマンモスの胃の内容物からイネ科の植物やキンポウゲを食べていたというが、
あの大きな生き物が、雄大な草原をゆっくりと進み、黄色い可愛らしい花を食す情景を思い浮かべると、
悠遠の昔のノスタルジーを感じる。
何のために、何を目指して移動するのか。
いずれにしても、その歩みの一歩に手向の花を。