創作ノート:春雷

冷たい空気と暖かい空気が混じり合う、季節の変わり目の不安定な天気。 雷鳴は春の訪れを告げる。 雷はギリシア神話の主神ゼウスの武器だ。 北欧神話では雷神トール。 キリスト教迫害時代の聖バルバラの伝説では、バルバラは父親の剣...

創作ノート:ピクニック

青々とした草の上にシートを敷き、様々な料理と食器。 ピクニックはヨーロッパ貴族の狩りから発展したという。 ピクニックの風景を描いた絵画で最も有名なものはエドワール・マネの『草上の昼食』だろう。 セザンヌ、モネ、ピカソも同...

創作ノート:形而上の午後

ヴェスヴィオ火山は西暦79年の大噴火で古代ローマの都市ポンペイを滅ぼしたことで知られる地中海圏最大の活火山。 この時の噴火は、歴史上における最も有名かつ悲劇的な大災害だと言えるのではないだろうか。 直近の噴火は1944年...

創作ノート:Requiem

野良仕事の最中に何かの虫か草にかぶれたらしく、治るまでにひと月近くかかった。 強い「かゆみ」というものは地獄の責め苦か思うほど。 まるでサタンの責め苦に喘ぐヨブ(旧約聖書「ヨブ記の主人公)のよう。 ヨブは信仰厚い善き人出...

創作ノート:「24羽の黒つぐみ」

「24羽の黒つぐみ」はアガサ・クリスティの名探偵エルキュール・ポワロシリーズの短編集『クリスマス・プディングの冒険』収録の作品。 短編の中では一番気に入っている。 イギリスの童謡「マザーグース」の中の「6ペンスの唄」に出...

創作ノート:「冬 −望郷−」

20歳で上京して30年近くになる。 最近になって高校時代の同級生の活躍や後輩の訃報を立て続けに聞いた。 特に仲良く付き合っていたわけではなく、単なるクラスメイトだったが、同級生の活躍はとても喜ばしかった。卒業してから全く...

創作ノート:Happening!!

「ハプニング」は美術用語では、1950〜1960年代にアメリカを中心に広がった前衛的な芸術運動をいうが、 この作品は、広義でいうところの「突発的な出来事」としての「ハプニング」を扱った。 少女が蜂(あるいは虻だろうか)に...

創作ノート:ヤコブの偽手

旧約聖書・創世記に登場するヤコブは非常に興味深い人物だ。 母親の計略に従い、双子の兄が受けるはずであった祝福をだまし取る。 双子の兄エサウは狩人で、非常に毛深く野の人であった。 父親はエサウを愛し、母親はヤコブを愛してい...

創作ノート:海とコンパス

イギリスの画家・詩人ウィリアム・ブレイク(1757-1827)の『ニュートン』。 無心にコンパスに向かうニュートン(1642-1727)が海底の岩と同化している。これは、ニュートン=科学の傲慢とし、痛烈に批判した作品だと...

創作ノート:「象は忘れない」

「象は忘れない」 イギリスのミステリー作家、アガサ・クリスティの作品で、名探偵エルキュール・ポワロのシリーズ長編第32作目である。 このタイトルは「象は恨みを忘れず、必ず報復する」に由来するという。 このミステリーを題材...

創作ノート:「道」

フェデリコ・フェリーニの映画作品「道」が好きだ。 あのどうしようもない悲しさ、やるせなさ。 人生に打ちのめされて立ち上がる気力もない。 そんな時があるものだ(ない人もいるかもしれないけど)。 いたいけなヒロイン、ジェルソ...

創作ノート:「花鳥風月 Spring」

コラージュの手法で「花鳥風月」を題材に制作したら、どのようなものができるだろう。 という出発点からなる作品。いわゆる東洋的ではないテイストで。 けれど、もう少し年を取ったら、一幅の「東洋的花鳥風月」な絵を仕上げてみたいと...

創作ノート:「リンゴの樹の下で」

リンゴといえば「原罪」をイメージさせ、大変罪深くもあるが、 旺盛な知的好奇心ゆえに発展してきた人類にとって、 「知恵の実」とは非常に抗いがたく、魅惑的な物体と言える。 この小さなイブは両手にリンゴを抱えて欲張りなのが微笑...

創作ノート:「Birthday」

生まれたその日と同じ位置に巡ってくる太陽。 誰にとっても誕生日は特別な日だ。 誕生を最も祝福されている人物といえば、イエス・キリストではないだろうか。 イエスはベツレヘムの馬小屋で生まれた。 父ヨセフの故郷であるベツレヘ...