創作ノート:ピクニック

青々とした草の上にシートを敷き、様々な料理と食器。
ピクニックはヨーロッパ貴族の狩りから発展したという。
非日常と開放感、春夏の娯楽としても現代でも脈々と続いている。
幼児教育、義務教育における「遠足」もその一種だろう。

ピクニックの風景を描いた絵画で最も有名なものはエドワール・マネの『草上の昼食』だろう。
セザンヌ、モネ、ピカソも同タイトルの作品を残している。
さらにはフランスの絵本の『リサとガスパールのピクニック』版もある。
オマージュ、リスペクト、インスパイア・・・多くの芸術家が同じ主題に惹かれるということ。
それだけ影響力の大きい、引力のあるテーマということだろう。

そもそもマネの『草上の昼食』もルネサンス期の画家たちが描いた作品「田園の合奏」「パリスの審判」のコラージュ的オマージュなのだから、
その引力も二重構造であると言えるかもしれない。

私もこのテーマには非常に惹かれる。
本来ピクニックとは開放的な行為であるが、この作品では中庭。裏窓。閉じた空間。
幼女のままごとのような、絶対的に守られた私的世界。
ここに重点を置いた。
そこには「完全なる平和」があると思うのだ。
そして窓の向こうは遥か遠いアルプスの夏の風景。