創作ノート:無垢の庭

抑えた色調。 少しだけグリーンが入ったグレーが好きだ。 ストイックさの中にも温かみが出る。 男性と女性で色の感じ方が違うという研究がある。 病院の待合室にリュックを忘れたことがあった。 家族の分も含め複数の荷物を持ってい...

創作ノート:花と鸚鵡

鸚鵡が日本にもたらされたのは案外古く、647年だという。 絵画に登場するほどに一般的になったのは江戸時代からだろうか。 花と鳥は日本画の系譜において伝統的な主題だろう。 明治から昭和を生きた日本画家、小原古邨(おはらこそ...

創作ノート:ヴァンサンヌの森

パリには400を超える市立公園や庭園があるという。 ちなみに東京都の都立庭園は9つ(小さな公園を含めると9500箇所だというが)。 なるほど、地方から上京した時、街中の緑の多さに驚いたのも頷ける。 総面積は約8,076ヘ...

創作ノート:正午/階梯/裏庭

正午の影の長さについて 季節と緯度、満天の星空の下にある時とは違う種類の宇宙感覚。 坂のある街の裏庭、路地に続く石造りの階段。 眩しさの中にある記念撮影。 懐古趣味的なSF小説のように、 鄙びた色彩と線と面のコンポジショ...

創作ノート:草競馬

「草競馬」はアメリカの作曲家フォスターの陽気でリズミカルな楽曲。 牧歌的な高揚感、田舎町のひと時の娯楽といったところだろうか。 ユーモラスな一面とはまた別の、大陸の空気感というか、馬と人と、広がる大平原の乾いた精神性・・...

創作ノート:金色の午後

「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロル(本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン/数学者)。 彼がカメラを購入したのは、写真が一般に広まっていく時代と重なる1856年。 そして、その年のうちに、「不思議の国のアリス」...

創作ノート:メランコリア

憂鬱=メランコリーの歴史は古く、古代医学の四体液説は、人間の体を構成する血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁の4つの体液が性格にも影響するとして、黒胆汁の気質を持つ人には憂鬱症状が見られるという。 「黒い」という意味の古代ギリシャ...

創作ノート:Periplus -航海誌

大航海時代、コロンブス、マゼラン、ヴァスコ・ダ・ガマ・・・。 ダーウィンの「ビーグル号航海記」 小説であれば、「十五少年漂流記」「どくとるマンボウ航海記」「高丘親王航海記」。 好奇心は猫を殺す。 たとえ命の危険があったと...

創作ノート:虹

善き羊飼い。 羊のために命を捨てるイエスの比喩。 そして神に約束された契約の証、虹。 旧約聖書創世記、堕落する人類に対する失望、神は怒り、 地上の生き物を滅ぼす洪水をもたらす。 正しく生きる人であったノアとその家族、すべ...

創作ノート:海

海辺のリゾート。 白い砂浜、陽光、開放的な空気、 ヨット、カジノ、そのほか享楽的な遊び・・・。 白昼の悪魔 太陽がいっぱい 悲しみよこんにちは どうしてもイメージがサスペンス寄りになってしまう。 リゾートでの休暇、ヴァカ...

創作ノート:水の器

あじさい、学名「Hydrangea macrophylla」 英語では「hydrangea」、ギリシャ語が語源で「水の器」という意味。 梅雨の季節、雨に打たれる手毬のようなあじさいの花はみずみずしく可憐だ。 原種は日本、...

創作ノート:白夜

夏至の季節、北半球の高緯度地域では太陽が沈んだ後も薄明るい。 これを「白夜」という。 白い夜、美しい言葉だと思う。 ロシア語の訳からきているらしい。スウェーデン語は「vit natt」、同じく白い夜を意味するそうだ。 英...

創作ノート:春雷

冷たい空気と暖かい空気が混じり合う、季節の変わり目の不安定な天気。 雷鳴は春の訪れを告げる。 雷はギリシア神話の主神ゼウスの武器だ。 全知全能の神であるゼウスは天候を支配し、その武器である雷は全宇宙を焼き尽くす威力なのだ...

創作ノート:ピクニック

青々とした草の上にシートを敷き、様々な料理と食器。 ピクニックはヨーロッパ貴族の狩りから発展したという。 非日常と開放感、春夏の娯楽としても現代でも脈々と続いている。 幼児教育、義務教育における「遠足」もその一種だろう。...

創作ノート:形而上の午後

ヴェスヴィオ火山は西暦79年の大噴火で古代ローマの都市ポンペイを滅ぼしたことで知られる地中海圏最大の活火山。 この時の噴火は、歴史上における最も有名かつ悲劇的な大災害だと言えるのではないだろうか。 直近の噴火は1944年...

創作ノート:Requiem

野良仕事の最中に何かの虫か草にかぶれたらしく、治るまでにひと月近くかかった。 強い「かゆみ」というものは地獄の責め苦か思うほど。 まるでサタンの責め苦に喘ぐヨブ(旧約聖書「ヨブ記の主人公)のよう。 ヨブは信仰厚い善き人出...

創作ノート:「24羽の黒つぐみ」

「24羽の黒つぐみ」はアガサ・クリスティの名探偵エルキュール・ポワロシリーズの短編集『クリスマス・プディングの冒険』収録の作品。 短編の中では一番気に入っている。 イギリスの童謡「マザーグース」の中の「6ペンスの唄」に出...