創作ノート:「24羽の黒つぐみ」

「24羽の黒つぐみ」はアガサ・クリスティの名探偵エルキュール・ポワロシリーズの短編集『クリスマス・プディングの冒険』収録の作品。
短編の中では一番気に入っている。

イギリスの童謡「マザーグース」の中の「6ペンスの唄」に出てくる“24羽の黒ツグミ”がキーワード。

6ペンスの唄を歌おう
ポケットにはライ麦がいっぱい
24羽の黒ツグミ
パイの中で焼き込められた

「6ペンスの唄」を題材にしたクリスティの作品は他にミス・マープルシリーズ長編の『ポケットにライ麦を』がある。
この唄の中の黒ツグミは、クロウタドリという英語では“blackbird”と呼ばれる種で、“Japanese thrush”と言われるクロツグミの種とは別種ということだ。
同じスズメ目ツグミ科であるが、“blackbird”は文字通り真っ黒な体に黄色いくちばし。一方“Japanese thrush”のほうはお腹の部分が白と黒のまだら模様だ。
なかなか奥が深い。

この作品では、子供が遊ぶ学習用の積み木をイメージした。
もう少しビビットな色合いにしようと思っていたが、“blackbird”のイラストがそれに合わなかったので、自然と色味を抑えた色合いになった。