創作ノート:草競馬

「草競馬」はアメリカの作曲家フォスターの陽気でリズミカルな楽曲。
牧歌的な高揚感、田舎町のひと時の娯楽といったところだろうか。

ユーモラスな一面とはまた別の、大陸の空気感というか、馬と人と、広がる大平原の乾いた精神性・・・のようなもの。
そんなことを思いながら制作した作品。

アメリカの小説家トルーマン・カポーティーの小説「ティファニーで朝食を」の中に、主人公ホリー・ゴライトリーが歌う歌詞が出てくる。

眠りたくもなし
死にたくもない
ただ旅していたいだけ
大空の牧場通って

20代の頃、この小説が好きで、とりわけこのフレーズがお気に入りだった。
30代になり、なんとなくもういいかなという気がして、
「ティファニーで朝食を」は他の本とともに売ってしまったが、
50を過ぎてもふとした時にこのフレーズを思い出すし、もう一つ好きな文章があったので、買い直そうと思い書店へ。
多分、気質に馴染むのだと思う。

パラパラとめくり、該当箇所を見つけたけれど随分違う。
表紙もデザインが違うし、訳者は村上春樹。そうか・・・時の流れか・・・。
ということで古書を手にいれる。訳は瀧口直太郎氏。

当の一文は、
一九四三年十月のあの月曜日。鳥の軽々と舞うにも似た美しい日。