創作ノート:帽子の少女

この作品は、17–18世紀に活動した博物画家であり自然誌研究家であったマリア・シビラ・メリアン(1647-1717)をイメージした。
彼女は子供の頃から昆虫の観察に没頭し、特に「昆虫の変態」について多大な興味を寄せていた。

マリア・シビラ・メリアンの生涯は活力に満ちている。
植物や昆虫の調査のため資金調達に奔走し、南米スリナムへ学術調査のために旅立っている。
69歳という寿命も当時にとっては長命だ。
身体の健やかさもあったのだろう。

この上なく美しくこの上なく奇妙な芋虫が
この上なく地味な動物に姿を変え、
この上なく地味な芋虫が
この上なく美しい蝶に姿を変える

『スリナムの昆虫の変態』1705年

初夏、蝶に見せられる帽子の少女。
宇宙の深淵を覗き込む、その時間の美しさ。

そういえばニーチェの言葉にこういうのがあった。
怪物と戦うものはその過程で自らが怪物とならぬよう気をつけよ。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ。
『善悪の彼岸」1886年

この作品の少女の写真は、少し内気そうな少女を用いた。
自然の驚異に好奇心を持ちながらも、
恐れおののく。少しづつ、そっと、覗き込む。
そう、あちら側からも覗かれているからね。