創作ノート:時祷書2月- Winter tree –

『ベリー公のいとも豪華なる時祷書 Tres Riches Heures of Jean, Duke of Berry』では、2月は「雪の積もる田舎の風景」。
ローマ暦では、年の始まりは3月。なので、年末である2月の日数から調整のために数を差し引いたことで、2月だけ28日(閏年は29日)となる。
年の始まりが1月に変わっても、この日数調整はそのまま残ったということ。

2月、Februaryはローマ神話の贖罪の神フェブルウス (Februus)から取ったと言われている。
「浄罪」「厄払いの儀式」の月であり、フェブルウスは冥界の神プルートと同一視されることもあるという。
厄払いの行事である「節分」もまた2月。

夜明け前が一番暗いという言葉もあるが、
春の訪れを前に、一番冬らしい冬を感じさせる月でもあるかと思う。

冬は星が美しい季節だ。
南の空で一番目立つのは「おおいぬ座」のシリウス、全天で最も明るい星だ。
そしてオリオン座、冬の星座の代表格。そのすぐそばに小さな星座、うさぎ座がある。

冬ごもりを表すに、いたいけな小動物は「2月の箱」にふさわしい。
ひそやかな息遣いと巣穴の暖かさ。
小さな存在にとって「冬の厳しさ」はじっとやり過ごすしかないにしろ、命の火は静かに燃え続けている。