創作ノート:天文学者

19世紀の天文学者エルンスト・テンペルに触発された作品。
またしてもホワイトスカルプチュア。白を基調にシンプルな構成にした。

テンペルはドイツ生まれ。
1859年に最初の彗星を発見し、プレアデス星団の星雲を発見したが、正規の天文学の教育を受けていなかったためドイツでは職が得られず、フランスやイタリアの天文台で働いたという。
マルセイユの天文台では、5個の小惑星と55P/テンペル・タットル彗星を含む12個の彗星を発見。
5個の小惑星のうち、1861年に発見した第65惑星を、当時バイエルン国王であったマクシミリアン2世に因み「マクシミリアーナ」と命名したが、他の天文学者に「キュベレー Cybele」という名に変えられてしまう。キュベレーはギリシャ神話の大地母神で「知識の保護者」の意味。

ガリレオが発見した木星の衛星も今日ではギリシャ神話のゼウス(ローマ神話ではジュピター)ゆかりの恋人たちの名が付いているが、発見した当初はガリレオが仕えていたトスカーナ大公・メディチ家のコジモ2世に敬意を表して「メディチ星」と名付けられていたし、このような改名は致し方ないこととして正規の教育を受けていない学者・・・テンペルの受けた不遇は容易に想像できる。

人はどんな時に夜空を見上げるだろうか。
ディズニーのピノキオの主題歌「星に願いを」の歌詞のように、
胸に切実な願いを秘めて、星に祈る・・・。

テンペルは肉眼でいくつもの星雲や惑星を発見したという。
偉大な天文学者だ。