創作ノート:「野の星/冬」

中島みゆきの『地上の星』は、NHKのドキュメンタリー番組・プロジェクトXの主題歌だったが、 「無名の人々の光を歌にしてください」というのがNHK側のオーダーだったそうだ。 そのことを考えると、ふと、夜空に星をみとめるよう...

創作ノート:alphabet

「アルファベット」という呼び方はギリシャ文字のα, β の読み方である「アルファ」と「ベータ」に由来する。 「始めに言葉ありき」・・・文字は偉大な発明だ。 近所にコンクリートの壁が続く場所がある。長年の風雨にさらされ、ま...

創作ノート:詩人の靴

大正から昭和にかけて、短い期間ではあったが斬新な作品を残した小説家・尾崎翠の短編に「詩人の靴」という作品がある。 今回の作品はこの短編のタイトルからインスピレーションを得た。 詩人の靴は燃えている! 燃えながら歩き、歩き...

創作ノート:時祷書12月

『ベリー公のいとも豪華なる時祷書 Tres Riches Heures of Jean, Duke of Berry』では、12月は「イノシシ狩り」 森の中、猟犬たちがイノシシを仕留めている。パリ郊外、ヴァンサンヌ城近く...

創作ノート:聖フィナ

私にはお気に入りのカトリック聖人が何人かいる。 オスカー・ワイルド「サロメ」に登場する洗礼者ヨハネは乙女に恋い焦がれられる賢者のイメージだが、実は荒野で生活し、ラクダの衣を纏い野蜜を食す野趣溢れる人物。その祝日が「夏至」...

創作ノート:ゴッホの手紙

1890年7月27日の日曜日、怪我を負ったゴッホがオーヴェールの下宿先にたどり着く。 体の中に銃弾が残った状態で、医師や警察に「麦畑で自らの胸部を撃った」と語り、7月29日、37歳で生涯を終えた。 その銃は発見されていな...

創作ノート:荒地

イギリスの詩人、T・S・エリオット(1888-1965)の代表作『荒地』(The Waste Land )を題材にした作品。 詩人で英文学者でもあった西脇順三郎(1894–1982)の訳が一番有名なのではないか。 このプ...

創作ノート:緑の王国

ティーカップに収まるほどの小さな王国。 緑色の・・・完全なる世界。 無心の、刹那的な、人工的な。 5月のような明度と彩度の高さ。 子供の頃読んだ絵本で『らいおんみどりの日ようび』(中川 李枝子 作/山脇 百合子 絵)とい...